施工管理の仕事は、未経験からでも挑戦できる職種です。建設業界では人材不足が深刻であり、特に若手や未経験者の採用に力を入れている企業が増えています。未経験者でもしっかりとした研修制度や実務経験を積むことで、現場で活躍できるスキルを身につけられます。
また、施工管理に役立つ資格を取得すれば、転職時のアピールポイントにもなり、キャリアアップの道も開けます。この記事では、未経験から施工管理への転職方法や役立つ資格を紹介します。
施工管理の仕事とは？
施工管理とは、工事現場全体の進行を管理する仕事で、現場監督とも呼ばれます。住宅やビルの建設工事、道路や橋梁などの土木工事に携わり、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理が主な業務です。工事が円滑に進むようにスケジュール管理を行い、作業員の安全確保や書類の整理、役所への手続きなど、多岐にわたる業務を担当します。
完成した建造物は目に見える形で成果が残るため、達成感の大きな仕事です。最近ではIT技術の活用や効率化が進んでいます。
未経験から、施工管理の仕事に転職できる理由
ここでは未経験から施工管理の仕事に転職できる理由について解説していきます。
特殊な資格が無くても始められるから
施工管理の募集でよく求められる資格に「施工管理技士」という国家資格があります。この資格は、一定の実務経験がなければ取得できません。そのため、専門学科卒業者や未経験者はまず無資格からスタートします。多くの企業では、未経験者を受け入れて数年間の実務を通じて人材を育成する体制が整っており、未経験からでもキャリアを積むことが可能です。
このような制度により、施工管理業界では未経験者でも安心して挑戦できる環境が提供されています。
人材ニーズの高い状態が、続いているから
建設市場の活況は、求職者にとって大きな追い風となっています。2020年のスポーツ大会関連の大型工事が終わった後も、再開発やインフラ整備、万博といった大型イベント関連の工事が増えるため、今後も工事の需要は堅調に続くと予想されています。その結果、現場に配置する施工管理の求人も引き続き高い水準で発生する見込みです。
これにより、建設業界では経験者のみならず、未経験者にも多くの雇用機会が提供されています。
働き方改革で、人材が求められているから
建設業界では、残業時間の長さや休日の少なさが問題となっていますが、近年では働き方改革が進んでいます。その中でも「施工管理技士を増員し、各技士の負担を軽減する」という施策が注目されています。2024年から施行される時間外労働の罰則付き上限規制を見据え、特に大手や中堅企業では、行政の指導を受けやすいことから、人材採用が活発化しています。
このような取り組みにより、労働環境の改善が期待されています。
施工管理の転職に役立つ資格は？
ここからは施工管理の転職に役立つ資格について紹介していきます。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建築工事の進行を管理するための資格で、マンションや工場、商業施設などさまざまな建築現場で活躍します。鉄筋工事やコンクリート工事といった構造に関わる作業から、クロス工事などの内装まで広範囲にわたる施工を管理できます。また、安全管理や予算の調整も含め、施工全体を見渡すことが求められるため、建築に関する幅広い知識と的確な判断力を持つことの証明にもなります。
建設機械施工技士
建設機械施工技士は、ブルドーザーや油圧シャベル、クレーン車などの建設機械を扱うための資格です。この資格を持つことで、建設現場での機械の操作や検査に必要な高度な技術と知識を持っていることが証明されます。特に、大規模な土木工事や建設現場では、安全性と効率を確保するために建設機械の正しい運用が求められるため、施工技士の役割は非常に重要です。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、建物の新築や増築に伴う電気設備工事を管理するための資格です。この資格を取得すると、電気工事の施工計画を作成し、工程管理や品質管理、原価管理、安全管理を行うことができます。また、工事の監理を行い、現場が円滑に進むよう調整する役割も担います。電気工事における幅広い知識と実務経験を持つことの証明となり、電気設備工事において非常に重要な役割を果たします。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は、インターネットや携帯電話回線などの電気通信工事を管理するための資格です。この資格を取得することで、監理技術者や主任技術者として電気通信工事を監督できるようになります。電気通信は住宅やオフィス、大規模施設に不可欠なインフラであり、その需要は年々高まっています。特に5GやIoTの普及により、今後さらに電気通信工事の重要性が増すことが予想されます。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、橋梁やダム、トンネル、道路、河川などの土木工事現場で施工管理を行うための資格です。浚渫工事や舗装工事など、土木に関わる広範な工事を管理でき、災害時の復旧・復興工事も対象です。特に公共工事においては、主任技術者や監理技術者としての役割を担うためには必須の資格です。これにより、土木工事の安全性や品質を確保し、プロジェクトを円滑に進めることが求められます。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、空調設備、ガス、ダクト、給排水設備などの配管工事を管理するための資格です。この資格を持つことで、建物のライフラインであるインフラ工事の計画や管理を行うことができます。特にガスや水道といった重要な設備を扱うため、管工事施工管理技士の需要は常に高く、あらゆる建築物に必要不可欠な存在です。この資格は、安定した需要があり、キャリアの幅を広げる重要な資格といえます。
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、植栽や水景といった外構工事における造園の施工管理を行うための資格です。この資格を持つことで、さまざまな造園工事に携わり、公園などの公共施設の緑化事業にも関わることができます。都市部での緑化がますます注目されている昨今、造園施工管理技士の需要は増加傾向にあり、都市環境の改善や美観向上に貢献する重要な役割を担っています。
施工管理の転職先とキャリア
ここでは施工管理の転職先とキャリアについて解説していきます。
監理技術者を目指す
施工管理のキャリアパスの一例として、実務経験を積みながら監理技術者を目指すことが挙げられます。監理技術者は、大規模工事現場で総合的な管理や作業員の指導を行う重要な役割です。土木工事や建築工事など指定建設業で監理技術者になるには、1級施工管理技士や1級建築士などの国家資格が必要です。
資格取得後、監理技術者講習を受けることで、監理技術者資格証が交付され、さらなるキャリアアップが可能になります。
大手ゼネコンやスーパーゼネコンへ転職する
施工管理の経験を活かして、大手ゼネコンやスーパーゼネコンへの転職を目指すのも魅力的なキャリアパスです。転職に成功すれば、大規模な建物や有名な建造物の施工管理に携われるチャンスがあります。しかし、案件の規模が大きい分、審査基準も厳しくなる傾向があります。
そのため、施工管理技士の資格を取得し、これまでの実務経験やスキルを積極的にアピールすることが重要です。しっかりと準備を整え、キャリアアップに挑戦しましょう。
発注者側へ転職する
実務経験と資格を取得した後、請負側ではなくデベロッパーなど発注者側への転職も一つの方法です。発注者側の仕事は、ゼネコンなどとの工事価格の交渉や工事の品質管理を行い、施工管理で得た知識や経験を活かせます。特に実務経験や資格が求められるため、発注者側への転職は専門性を発揮できる場でもあります。
さらに、収入アップのチャンスも期待でき、施工管理で培ったスキルをより広く活用できる職場です。
まとめ
未経験でも施工管理の仕事に転職することは十分可能です。建設業界では人材不足が続いており、未経験者を育てる環境が整っている企業が多くあります。また、施工管理技士などの資格を取得することで、転職活動での強みとなり、将来的なキャリアアップにも繋がります。
未経験からでも挑戦しやすい環境があるため、興味を持った方はまず基礎知識を学びつつ、必要な資格取得を目指して行動を始めましょう。
