施工管理技士は、建設現場での工程・品質・安全管理を担う重要な職種であり、その年収は担当する工事の規模や業務内容によって大きく異なります。この記事では、施工管理技士の平均年収や月給の目安に加え、資格や経験を活かして給料を上げる方法について詳しく解説します。
特に、好条件の転職や資格取得が年収アップにどのように役立つかも紹介しているので、キャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてください。
施工管理技士の仕事はどのようなもの?
ここでは施工管理技士の仕事内容について解説していきます。
スケジュール管理
施工管理技士にとって、納期に間に合うよう成果物を引き渡すスケジュール管理は最も重要な業務の一つです。人員確保や資材、重機の調達など多岐にわたる準備を担当し、工事進行中には遅延の兆候を見逃さず、必要に応じてリソースを追加投入するなど、柔軟な対応力も求められます。
また、工事現場ではトラブルが発生することが多く、迅速な対処ができなければ工程全体が後ろ倒しになりかねません。多くの利害関係者との調整を円滑に進め、場合によってはスケジュールや人員の調整も必要で、工事完了には豊富な経験と高いスキルが不可欠です。
安全管理
施工管理技士の重要な役割の一つに、建設現場で作業員が安全に働ける環境を整備することがあります。重機が稼働する現場では、事故防止のため定期的な巡視が欠かせません。危険な場所がないか確認し、作業員には「ヒヤリハット」と呼ばれる危険事例を共有し、安全意識を高めます。
また、重機や工具の点検も行い、不具合があれば速やかに修理し、作業に支障が出ないように努めます。日々の作業環境を見守りながら、事故を未然に防ぐためのルール作りを行うことが、施工管理技士には求められるでしょう。
原価管理
工事における原価管理は、資材の調達費や人件費を考慮し、予算内で工事を完了させる重要な業務です。いかに高品質な成果物であっても、予算を超えてしまえば契約の目的が果たせません。
クライアントの求める品質を保ちつつ自社の利益を確保するためには、削減可能なコストを見極め、必要に応じて切り捨てる判断が求められます。正確な見積もりを作成し、過不足なく必要項目を洗い出すことが大切です。
さらに、予期せぬコストが発生した場合には、計画の見直しや速やかな修正対応も必要です。これにより、品質と利益のバランスを保つことができます。
品質管理
施工管理技士にとって品質管理は重要な業務の一つであり、建築物が仕様書で定められた基準を満たしているか確認します。不備がある状態で引き渡すと、クライアントとのトラブルだけでなく、周囲の安全を脅かす危険も生じます。
確認項目には、耐震性や耐火性などの法的基準、材料の使用方法・量、寸法やゆがみの有無など、多岐にわたるチェックが必要です。プロジェクトの進行中は、現場の写真を撮影し、変化や不具合がないか定点観測を行います。
品質管理では、些細なミスも見逃さない、丁寧で正確な確認作業が求められます。
施工管理技士の年収
ここからは施工管理技士の年収について紹介していきます。
1級建築施工管理技士の年収
1級建築施工管理技士は、建設現場の管理において豊富な知識と経験を求められる資格で、給料は一般的に約400万〜600万円とされています。この資格を持つことで、総工費4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)といった大規模な工事を受注できる特定建設業の管理技術者として従事することが可能です。
そのため、希少価値が高く、公共工事の入札時には技術力評価で有利に働きます。また、高齢化による技術者の不足が進む中で、1級建築施工管理技士のニーズはますます増加しています。現場を統括する役割を担えるこの資格は、今後も高い需要が見込まれるでしょう。
2級建築施工管理技士の年収
前述しましたが、1級建築施工管理技士の年収は約400万〜600万円とされており、資格を持つことで安定した収入が期待できます。1級建築施工管理技士は全ての工事現場で主任技術者として従事することができ、建設業界での需要が非常に高いです。
一方、2級建築施工管理技士も主任技術者としての役割を果たせますが、対応できる工事の種類に制限があり、業務範囲も限られます。しかし、2級の資格も無資格に比べれば需要が高く、就職やキャリアアップに役立つでしょう。
これらの資格を取得することで、建設業界での活躍の幅が広がり、職業の安定性や収入増加も見込まれます。
施工管理技士の年収を上げる方法
ここからは施工管理技士の年収を上げる方法について紹介していきます。
電気工事施工管理技士を取得する
電気工事施工管理技士は、電気工事に特化した施工管理の国家資格で、発電設備や変電設備、非常用電源設置といった高度な工事から、一般的な照明の取り付けまで幅広い業務を担います。
近年、IoTやスマート家電、太陽光発電などの電気設備が急速に普及しており、電気工事施工管理技士の需要が高まっています。また、業界の高齢化による人手不足も深刻で、新たな技術者の確保が急務となっているのです。
資格区分によって対応できる業務範囲が異なり、2級は一般建設業の主任技術者に、1級は特定建設業の管理技術者になることができます。
建築施工管理技士を取得する
建築施工管理技士の資格を取得すると、建設工事の計画立案、スケジュールや人員調整、安全対策の実施など、多岐にわたる業務を担当できます。現在、高度経済成長期に建設された建物が老朽化しており、修繕や建て替えの需要が急増しているため、施工管理技士の重要性が高まっています。
1級の資格を持つと、公共施設や大型ショッピングモールなどの大規模工事も管理可能となり、より高収入を得られる傾向にあります。一方で、2級では中小規模案件に限定され、「建築」「躯体」「仕上げ」の区分ごとに対応が求められます。
今よりも条件の良い会社へ転職する
施工管理の職において好待遇の企業へ転職することは、年収を上げる有効な手段の一つです。企業規模が大きいほどプロジェクト規模も拡大し、社員への還元額も増加する傾向にあります。
特に首都圏(東京、埼玉、神奈川)では案件受注の面で地理的優位性があるため、年収が高い企業が多いです。また、プラントやエネルギー関連の工事を手がける企業では、他の分野と比較して年収が高い傾向にあります。
さらに、ゼネコンやデベロッパーで働くことはハウスメーカーや不動産管理会社よりも収入面で有利で、大手ゼネコンの管理職ともなれば年収1,000万円を超えるケースも少なくありません。
独立する
フリーランスの施工管理技士として独立したり、新たに施工管理会社を立ち上げたりすることは、年収アップに効果的です。施工管理業界では人手不足から案件が多く、価格やスピードで既存企業に勝ることで案件獲得が可能です。
フリーランスはプロジェクト単位でのスポット対応が中心で、案件終了ごとに営業が必要な厳しい面がありますが、働き方を自由に選びやすく、高収入も期待できます。会社を設立する場合、手続きに時間やコストがかかりますが、信頼性が増し、安定的な案件獲得に有利となる点がメリットです。
まとめ
施工管理技士の年収は、資格の等級や業務の種類、勤務先の企業規模によって大きく異なり、高収入を目指すには戦略的なキャリア選択が重要です。特に、1級資格の取得や大規模プロジェクトを担うゼネコンでの経験が年収アップに効果的です。
また、首都圏やエネルギー関連工事を行う企業では高待遇の傾向があります。自分のスキルを磨き、好条件の企業やプロジェクトに挑戦することで、安定した収入とキャリアアップが期待できます。